細胞の老化という考え方

細胞の老化という考え方

細胞時計・体内時計の衰え

人間の体は細胞時計・体内時計とも言われる機能を備えていて、太陽がのぼれば覚醒して活動し、夜になれば眠くなり睡眠に入るというサイクルを繰り返しています。朝起きると体内時計が指令を出し、コルチゾールというホルモンを分泌させます。これは、眠っていた体にいきなり活動しなさいといってもすぐに動けるわけではないので、ウォーミングアップを促す役割があるとされています。このはたらきがきちんと行われていることで、各臓器は強調しあいスムーズに働いてくれるのですが、加齢にともないコルチゾールの分泌量は減ってしまうのです。
また、深部体温は眠りに入る直前にいちばん高くなり、明け方になるにつれ低くなります。この働きはメラトニンという松果体から出るホルモンがかかわっていますが、これも歳をとると分泌量が減り、睡眠と覚醒にメリハリが少なくなってしまうと言われています。

DNAの損傷

アンチエイジングという観点から老化を考えてみると、その原因のひとつに挙げられるのがDNAの損傷という問題です。DNAというのは遺伝情報を含んだ設計図のようなもので、この遺伝情報をやりとりすることで、同じ性質の細胞が作られていきます。このDNAを損傷させるのが、紫外線や活性酸素などの刺激です。損傷の発生は1日あたり、なんと最大で50万個ともいわれていますが、若いころにはそれを修復する能力が十分にあります。ところが、加齢にともない修復のスピード自体がおそくなることに加え、生活環境次第では修復が損傷に追いつかず、細胞の機能低下や細胞分裂の停止を引き起こしてしまいます。細胞は分裂しなければ活性化を失い、これが肌の老化につながっていくという仕組みですが、近年、DNA損傷を修復するための治療法など研究もスタートしつつあります。